小石原焼 工房紹介
小石原焼 「蔵人窯」
蔵人窯 くらんどがま 小野 永蔵
小石原という土地柄、代々引き継がれていく窯が多い中、蔵人窯は自らがはじめた窯。
蔵人窯の作品は、伝統の「飛び鉋(とびかんな)」をベースに麦の模様やクシ目模様を組み合わせ、新しいスタイルを確立している。
「昔から絵を描くことが好きでしたから、今の作風に反映したのでしょうね。小石原焼に麦の模様を描くことは、当初、なかなか受け入れてもらえませんでした。小石原焼は伝統深い陶芸ですからね。私は和食にも洋食にも馴染む器を作りたいと思っていましたから。今では多くの方に支持していただいて、作り続けて良かったと思います。」と語る小野永蔵(えいぞう)さん。小野さんが作り出す器から、心を和ませる温もりが感じられるのは、作り手の人柄が滲み出ているからなのだ。
小野永蔵(えいぞう)さん
小野雄大(ゆうだい)さん
とびかんな
時計のゼンマイのバネを利用して、ろくろを廻しながら削る技法。
手作業で削られる模様は、同じものが二つとない。
蔵人窯の特徴は、精度の高いこの飛鉋だ。
「全く同じものを揃えたいと思われる方や、全く違うものを選ばれる方、
人それぞれに好みがありますが、使って頂く方の感性で選んでいただけると嬉しいです。
日本人は古くから、お茶碗ひとつとってみても、釉薬のムラや貫入を景色に見立てたり、器の中に宇宙を感じたりと、本当に素晴らしい感受性を持っていると、常々思っています」そう語る小野永蔵さん。陶器を愛する人への尊敬の念が、丁寧で繊細な作品を生み出しているのだろう。
新たな息吹を迎えて
2009年から長男の雄大さんも作陶し、永蔵さんと共に制作を始めた。
「やはり、世代によって感覚が違いますからおもしろいですね。私が窯をはじめて、心のままに自身の作風を築いたように、彼もまた、自分の感性で自由に作陶し、また新しい風をいれてくれることでしょう」と、語る永蔵さん。新たな進化に向かう蔵人窯に、今後も目が離せない。
蔵人窯 福岡県朝倉郡小石原村大字鼓蔵貫1709-1
小石原焼 「鶴見窯」
鶴見窯 和田 義弘 wada yoshihiro
古くから、生活に根差した『用の美』を確立している小石原焼。
和食中心の食生活から、多種多様な料理が食卓を彩るライフスタイルへと移りゆく中、「鶴見窯」の器は、現代の食生活にも溶け込む新しい『用の美』を見い出し、若い世代からも支持されている。
先代から窯を継承した二代目の和田義弘さん。
「新しい窯、そして若い世代だからこそ表現できる何かがあると思っています。」
小石原焼の伝統技法に若い感性を取り入れた彼の作風は、力強さと美しさを備えた独創的な個性を放っている。
「小石原焼の伝統技法を生かしながら、現代のライフスタイルにマッチするような器をひとつひとつ手間を惜しまず心をこめて作陶しています。」そう語る和田さんは、小石原の温かさに触れてもらえるよう、全国各地で積極的に展示会を行っている。
鶴見窯
福岡県朝倉郡小石原村大字鼓2443
昭和54年 |
小石原に生まれる |
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平成12年 |
京都伝統工芸専門学校卒業後、小石原で作陶を始める |
平成13年 |
全国伝統的工芸品展入選
日本民芸公募展入賞
福岡県伝統工芸展入賞 |
平成14年 |
全国伝統工芸品展入選
金沢わん・ONE大賞入選
福岡県伝統工芸品展入賞 |
平成15年 |
金沢わん・ONE大賞入選
ながさき陶磁展入選・西日本陶芸展入選
福岡県伝統工芸品展入賞 |
平成16年 |
全国伝統工芸品展入選 |
平成18年 |
福岡県伝統工芸品展入賞
その他、個展・グループ展多数あり |