島根のうつわ 工房紹介
袖師焼 「袖師窯」
袖師焼窯元
四代 尾野 晋也
明治10年の開窯から130年余の歴史を持つ袖師窯。現在は、四代窯元 尾野晋也氏が窯を引き継ぎ、地元の陶土・原料を使用して、強くて使い良く、簡素のなかにも潤いがある器造りを心掛け、ご家族と共に作陶されている。
うつわの特徴
出雲に伝承された陶法を基礎に、各地の陶法を会得し、「手造りで現代の暮らしに役立つ健康な陶器」造りを探求する袖師窯。
地釉・柿釉・ゴス釉・藁白釉・糖白釉・辰砂等、様々な釉薬を巧みに使い分け、掛分・抜蝋文・鉄絵・刷毛目・釘彫・櫛目など、多様な手法を用いて生みだされる「暮らしのうつわ」は、花器・茶器・酒器・和洋食卓用品など、日々の暮らしに穏やかに馴染み、世代を超えて愛されている。
—暮らしに馴染む器を求めて—
130年余の歴史を誇る袖師窯の作風は、変わりゆくライフスタイルにあわせて、時代とともに新たな表情を生み出していく。
「昔は、和室や和食中心の食卓に馴染むような深い色合いの器が主流でしたが、今では、明るい壁色の洋室と和洋様々な料理が並ぶ食卓に合わせて、以前より明るめの色合いや新しいスタイルの器も造っています。“器”は、日常の暮らしに役立ってこそ、美しさが発揮されるものだと思いますから」と、あたたかい笑顔で語る尾野晋也さん。
民芸運動に触れ、“用の美”を追求した三代尾野敏郎氏の思いと伝統を大切に受け継ぎ、新たな“用の美”が脈々と息づいている。
袖師窯の歴史
明治10年 |
初代尾野友市氏が布志名や楽山の民窯で出雲の陶法を学び、良質の陶土がある松江市上乃木皇子坂に開窯 |
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明治26年 |
二代尾野岩次郎氏が、その当時は舟運の便も良く、小泉八雲氏が美しい夕陽を称えた宍道湖岸の名勝の地 袖師浦に窯場を移し、五室の登窯を築く |
昭和6年 |
三代尾野敏郎氏は、島根を視察された柳宗悦氏の“民芸運動”に馳せ参じ、次いで河井寛次郎氏(郷土出身)、浜田庄司氏、バーナード・リーチ氏など各師の指導をうけ、以来今日に至るまで民芸陶器の窯として陶法を継承する |
昭和33年 |
ブリュッセル万国博において「掛分酒器」がグランプリ賞を受賞 |
袖師焼窯元 島根県松江市袖師町3-21 作品を見る